帝塚山大学「博物館経営論」
─受講生へのお知らせ─
1、講義の目的
  博物館経営(ミュージアム・マネージメント)とは、博物館の理念に基づいてさまざまな事業を行うことをいいます。経営という用語の印象から、「いかに入館者数を増やして収入を増加させるか」といった経済的な一面を学ぶような印象を持ってしまうかもしれませんが、経営とは本来、「物事のおおもとを定めて事業をおこなうこと」という意味があります。すなわち博物館経営とは、博物館のあるべき姿を見定めながらいかに運営するか、という問題といえるでしょう。
 この講義では、現在直面しているミュージアム(博物館・美術館・資料館等々)の状況について紹介しながら、これからのミュージアムがいかにあるべきなのかということを見据えて、学芸員という立場からいかに主体的に博物館の諸事業に携わることができるかについて、さまざまな事例から紹介したいと思います。

2、成績評価の方法
  1、平常点50%(授業への積極的参加度をリアクションペーパー等で評価し採点)
  2、レポート50点

3、レポート課題について
T、なんでも好きな展覧会を選んで、実際にその展覧会を鑑賞し、次の@〜Cの設問に答えるかたちで、レポートを執筆して下さい。分量は問いません。

 @、展覧会の概要
 鑑賞した展覧会の概要とその趣旨を、内容構成を交えて提示して下さい。(5点)
 →基礎情報をまとめて提示する力を把握します。

 A、展覧会の良い点・悪い点
 鑑賞した展覧会の、良かった点、悪かった点を、1つずつあげてください。(15点)
 →展示内容を批評的にみる力を把握します。批評・批判は単なる「否定」とは違います。根拠を  もとに、積極的にその内容の良いところ、悪いところを評価してみて下さい。

 B、広報の良い点・悪い点
 鑑賞した展覧会のチラシ(あるいはその他広報物)とウェブサイトを確認し、その広報のやり方の良いと思う点、悪いと思う点をあげて下さい。(10点)
 →展覧会の広報が十分たりているのか、多くの人への配慮が行き届いているのかなど、さまざまな視点から批評を行ってみて下さい。

 C、自分が学芸員ならばこうする!
 自分自身が、鑑賞した展覧会の担当学芸員であったと仮定して、展覧会をよりよい内容にするために、さらに工夫できることを考えて下さい。(20点)
 →自分ならこういう作品を追加する、あるいは展示方法を変更する、またあるいは広報のやり方をがらりと変えてみるなど、具体的に方法を示して下さい。

U、対象となる展覧会
 どこの博物館・美術館でも、どんな展覧会でも、その選択は自由に行ってください。特別展や企画展でなく、常設展示でもいいです。ただし、画廊やギャラリーの展覧会よりは、学芸員が関与している博物館・美術館をお勧めします。自分が最も興味を持っている分野や対象の展覧会を選んで、自分の言葉で、優れた展覧会批評を行えるように努力してみて下さい。

4、レポートの提出日
  4月〜7月の各授業の日のうち、いつ提出しても構いません。