展覧会・文化財を見てきました。

─展覧会鑑賞・文化財見学に関する勝手な感想─

最終更新日 8月16日

2025年度

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月


4月22日
奈良国立博物館
 開館130年記念特別展 超・国宝-祈りのかがやき-
(4月19日~6月15日)
 仏像館での仏像供養(東大寺出仕)に学生40人と参列し声明を拝聴してから本館へ。開館130年の節目に、奈良と奈良国立博物館ゆかりの仏教美術の精華を一堂に集約して紹介。壬辰検査、奈良博覧会開催から明治27年の同館開館までの経緯を示しつつ、開館以来、主に南都諸大寺から寄託・借用され展示された仏教美術を中心に、博物館と所蔵寺社の関係史を踏まえながら古代・中世日本美術史の基軸資料を7章に分けて示す。法隆寺百済観音像、中宮寺菩薩半跏像(5/20~)、中宮寺天寿国繍帳(~5/15)、清凉寺釈迦如来立像(5/20~)などなど書き切れない優品名品143件。展示全体に奈良国立博物館の歴史と存在意義を通底させた、同館ならではの「国宝展」を構築。世界平和とよりよい未来への希求を伝える最終章は、現代を見つめ、未来をまなざす新時代の博物館活動への意欲的な一歩。図録あり(372ページ、3300円)。

なら歴史芸術文化村
 特別公開 修理完成記念 野迫川村平区の仏像
(4月19日~6月1日)
 文化村内修理工房にて修理された(施行:美術院国宝修理所)野迫川村平区釈迦如来坐像を公開。鎌倉時代前~中期の慶派仏師作例で奈良県指定文化財。像表面の補彩除去とともに台座の古材を組み直して復元し安定を図るもの。修理過程について詳細なパネルを多数作って紹介し、修理工程を示す映像も付置。同地区伝来の地蔵菩薩坐像(鎌倉初期ごろか)も展示し、野迫川村の歴史的・文化的環境や平区のオコナイなど民俗行事なども紹介。美術的価値・修理情報だけに留めずその伝来環境を示すことでより深い鑑賞につなげる構成は地域博物館としてあるべき堅実で誠実な態度。リーフレットあり(A3・両面、無料)。

4月30日
高野山霊宝館
 重要文化財指定記念特別展 大伽藍
(4月2日~6月29日)

 高野山壇場伽藍(大伽藍)諸堂が重要文化財に指定されたことを記念し、伽藍諸堂の歴史と伝来した文化財を紹介。西塔旧本尊の大日如来坐像(平安初期)、大会堂伝来の阿弥陀如来坐像(平安末)、六角経蔵旧本尊の康正作宝冠釈迦如来坐像(天正18年)や善女龍王像(久安元年)、龍光院弘法大師像(鎌倉、後期展示)、などの優品のほか、御手印縁起写(室町か)、灌頂堂旧材の明算像(江戸)、木食応其像(慶長6年)、不断経使用の青磁大香炉(元~明)、荒川経、細字金光明最勝王経などなど多数展示。初見の高野山伽藍図(江戸時代)は伽藍と奥之院、霊験像安置堂舎のみを配して子院を描き込まない珍しいタイプの高野山図。やっぱりこういうのがあったのねと膝を打つ。根本大塔心柱破損部材は延享3年(1746)に大塔に雷が落ちた際、心柱が割れ落ちた高324㎝の部材片。寺務櫻池院伝誉、年預寂静院快融、年預代日光院英信が連名で、心柱欠損の事情を部材に墨書して残されたもの。本展を象徴するよい資料。図録なし。

5月2
和歌山市立博物館
 企画展 出版文化とわかやま-本を刷り、絵に刷られ-
(4月26日~6月29日)

 江戸時代の和歌山で花開いた本屋・貸本屋と出版の文化の様相を、城下の書肆の尽力により集積された一大コレクションと館蔵品を活用し、146件の資料(前後期展示替え)から紹介。藩校と儒学、本居宣長と国学、松尾塊亭と俳諧、博物学と医学、画人とそのサロン、和歌山が舞台の浮世絵、和歌山の名所と、その幅広いトピックスのそれぞれに出版が関わり文化の普及に寄与していたことを示す。岸熊野の熊野先生南山紀行、本居宣長・大平・内遠の肖像、松尾塊亭雷公子誤浴図、岩瀬広隆鬼念仏図、坂本浩雪菌譜、塩路鶴堂隺堂画譜など。図録なし。

和歌山県立博物館
 特別展 仏像のプロフィール-わかやまうまれ、わかやまそだち-
(4月26日~6月1日)

 信仰・造形・歴史の重層性から生じる仏像・仏画の魅力とその見方を、平易にポップにそして真面目に読み解く仏教美術入門展。仏像の世界、仏像のなまえ、仏像のからだ、仏像のふるさとに章を分け、寄託資料を有効に活用しつつ、新資料も紹介。仏像では正平8年頼円ら作広利寺十一面観音立像、貞和3年康俊作海雲寺釈迦如来及び迦葉・阿難像、妙法寺大日如来坐像など、仏画では南北朝時代の初公開作例である蓮開寺仏涅槃図や虚空蔵菩薩像(館蔵)を紹介。前者は正徳4年に高野山で修理され、後者は寛永21年に無量光院から駿府城下の寺院に譲られたもの。文化財の魅力は外形だけに留まらず、その思想的背景や関係する人々の記憶の蓄積(=プロフィール)を体現するところにあることを丁寧に示す。子ども向け展示として構築することで総ルビとしたりサブパネルを多数用意するなど、鑑賞体験のハードルを下げる工夫を凝らす。図録あり(90ページ、1300円)。図録デザインのポップさ(内容は真面目)と展示室の重厚さのギャップが両立するのも仏教及び仏教美術の懐の深さ。

5月4日
京都国立博物館
 特別展 日本、美のるつぼ-異文化交流の軌跡-
(4月19日~6月15日)

 大阪万博開催にあわせ、日本文化における外国文化との憧憬・融合の諸相を絵画・工芸資料を軸として提示。時宜に合わせたポップで総花的な名品展とはせず、各章各作品とも近時の研究の先端的な着眼が堅実に示され、アカデミックなスタンスが通底した美術史展。萬福寺の范道生作羅怙羅尊者像と韋駄天立像をあちらこちらからありがたく眺め、ボストン美術館吉備大臣入唐絵巻をじっくりと鑑賞。図録あり(272ページ、3080円)。

京都文化博物館
 令和7年 新指定国宝・重要文化財

(4月19日~5月11日)
 文化庁京都移転に伴い本年より京都文化博物館を会場に開催。新指定文化財のお披露目にありがたく馳せ参じる。東京国立博物館伎楽面、圓照寺康俊作地蔵菩薩立像、松尾大社神像、三の丸尚蔵館絵師草子、人物写真帖ほか、じっくり鑑賞。図録あり(88ページ、1,700円)。

5月7日
奈良県立美術館
 コレクション展 新・古美術鑑賞-いにしえを想いて愛せる未来かな-
(4月5日~5月18日)

 美術史実習で見学。同館の優れた日本美術コレクションを有効活用し、屏風の開き方を変えたりするなどさまざまな展示の工夫によりかつての作品受容の場と環境にコミットしていく攻めた展示。室町時代の秋冬山水図屏風(伝雪舟)、高士探梅図、菊池容斎筆五百羅漢図、浮世絵も多数。展示作品を題材に短歌をよむワークショップは、作品のより深い鑑賞につながる優れた手法でナイスアイデア。図録なし。

5月10日
奈良国立博物館
 開館130年記念特別展 超・国宝-祈りのかがやき-
(4月19日~6月15日)

 公開講座「文化財の今、国宝の未来-文化財受難の時代を超える-」を担当。15分押しでなんとかお役目果たした後、展示室一周。展示替え前の作品を中心に鑑賞。

5月13日
京都国立博物館
 特別展 日本、美のるつぼ-異文化交流の軌跡-
(4月19日~6月15日)

 美術史実習の見学会でさっそく再訪。安祥寺の蟠龍石柱をぐるぐる囲繞する。

龍谷ミュージアム
 企画展 大谷探検隊 吉川小一郎-探求と忍耐 その人間像に迫る-
(4月19日~6月22日)

 大谷門主の側近で大谷探検隊第三次調査を主導した吉川小一郎の遺族宅から近年新たに確認された資料を公開。古写真や手紙類による大谷探検隊の動きを明らかにする資料とともに、二楽荘の造営と閉鎖にも深く関与しており、本願寺(西本願寺)と大谷門主の動向も把握できる重要資料群。龍谷大学図書館収蔵の大谷探検隊コレクションから伏羲女媧図(7~8世紀)、朱地連珠天馬文錦(7世紀)、死者の紙製靴(延寿15年[638]周隆海買田券を転用)や、吉川家所蔵の金剛般若波羅密多経断簡(8世紀)など。仏教史研究上意義ある新資料群を共有する貴重な機会。図録あり(132ページ、2000円)。

5月20日
大和文華館
 特別展 没後50年 矢代幸雄と大和文華館-芸術を愛する喜び-
(4月12日~5月25日)

 美術史実習で見学。大和文華館の創設を構想してそのコレクション形成を行った初代館長矢代幸雄の美術史家としての生涯と美術資料へのまなざしを紹介。原三渓との深い関わり、欧州留学とボッティチェリ研究、中国美術との接近と学び、東洋美術への深い造詣とコレクション形成をそれぞれ示すことで、館のなりたちを活写する。原山渓旧蔵の優品(一字蓮台法華経、寝覚物語絵巻、笠置曼荼羅、伝周文筆山水図屏風、扇面貼交手筥、光琳筆銹絵山水文四方火入など)を館蔵品とそれ以外(孔雀立葵図屏風・アーティゾン美術館ほか)も含めて並べ壮観。1935年から翌年にかけロンドンで開催された中国芸術国際展覧会に外国委員として矢代が加わっており、その日本からの出陳品(永青文庫銀人立像、静嘉堂文庫美術館三彩貼花文壺、東京藝術大学金銅菩薩立像(北周)ほか)を追跡して展示している点は重要な学術成果でもある。ほか館蔵品の作品解説には各資料の収集過程が詳述。図録あり(124ページ、1980円)。

5月22日
高野山霊宝館
 重要文化財指定記念特別展 大伽藍
(4月2日~6月29日)

 前期に続き、展示替え後の後期展示訪問。竜泉院弘法大師像(重文)をじっくり拝観。裱背に建治2年(1276)銘とともに弘福寺常住と記され、もと川原寺伝来資料。金剛峯寺金銅水神像(重文)の制作時期をいろいろ思案。銀製の双身歓喜天像が展示室に並ぶ奇跡。ほか寛元3年(1245)銘を有する大日如来像(重文)も展示替えで公開。図録なし。本館の平安時代初期不動明王坐像をぐるぐる回ってその表現をじっくり鑑賞。

5月26日
奈良国立博物館
 開館130年記念特別展 超・国宝-祈りのかがやき-
(4月19日~6月15日)

 奈良博会館130周年記念式典に出席してから、後期展示1回目鑑賞(通算3回目)。清凉寺釈迦如来立像、中宮寺菩薩半跏像ほか、ありがたく拝み見る。

5月27日
中之島香雪美術館
 特別展 すべてを描く萬絵師 暁斎-河鍋暁斎記念美術館所蔵-
(4月26日~6月1日)

 河鍋暁斎記念館所蔵品により暁斎の多彩な画業とその特徴を紹介。本画だけでなく下絵も多数展示。風神雷神図、蝦蟇仙人・鉄拐仙人図、文読む美人図、吉原遊宴図、鳥獣戯画猫又と狸下絵などなど。明治14年制作の枯木寒鴉図は枝に止まる鴉を墨のみで描く。精神性の高い優作。図録あり(132ページ、2500円)。

大阪中之島美術館
 生誕150年記念 上村松園
(3月29日~6月1日)

 近代女性画家のパイオニア上村松園の大回顧展。若いころから晩年までの画業を集約。京都市美術館《人生の花》、永青文庫《月影》、名都美術館《春秋》、松伯美術館《花がたみ》、《楊貴妃》、東京藝術大学《序の舞》、京都府立鴨沂高等学校《夕暮れ》、大阪市立美術館《晩秋》など代表作を、松伯術館の多数の下絵とともに紹介。図録あり(240ページ、3300円)。

5月29日
東京大学駒場博物館
 Reproductions 日本美術の復元・複製・修復
(5月10日~6月29日)

 よみがえる中世屏風プロジェクトの成果を軸に、日本絵画史における修復や複写と制作、複製や復元と研究、そして作品を継承することとの連動を多面的に紹介。同館所蔵の橋本雅邦西行法師之図、川端玉章八幡太郎図、横山大観絵師草紙写、下村観山蒙古襲来之図や、同大美術史研究室所蔵の探幽縮図などのほか、石山寺縁起画中屏風を表裏共に復元した浜松図屏風、東博所蔵月次祭礼図屏風各扇模写を元に愛知県立芸術大学が復元した屏風など。リーフレットあり(12ページ、無料)。

半蔵門ミュージアム
 特集展示 ほとけに随侍するもの
(4月23日~8月31日)

 主尊に随侍し仏法を脇で支える存在について、同館所蔵資料の中からチョイスして公開。所蔵の法用寺伝来三十三応現身立像梵王身像とともに、早稲田大学会津八一記念博物館所蔵で会津如法寺伝来の三十三応現身像6軀を紹介。如法寺に残存する21軀も含めた現在確認できる27軀を左右壇に推定配置したパネルが重要な研究成果。残り6軀はいずこにいらっしゃるか。倶利伽羅不動明王像は、一画面に不動明王二童子と倶利伽羅龍剣を描く新資料。青面金剛像は、いわゆる庚申像であるが、中尊がやや斜め向きに立ち、描写も精緻で同像研究の上で今後重要な位置を占めうる新出事例。展示解説をまとめたリーフレットあり。

6月3日
大阪市立美術館
 大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展 日本国宝展
(4月26日~6月15日)
 美術史実習で見学。万博開催及びリニューアルオープンを記念し、国宝を多数集めて一堂に展観。道明寺十一面観音立像、獅子窟寺薬師如来坐像、東寺女神坐像、薬師寺聖観音立像など正側背をぐるりぐるりとめぐりながら鑑賞。ありがたく拝み見る。京博天橋立図、神護寺三像、根津美術館燕子花図屏風等々、名品の数々を、たくさんの来館者の熱気とともに鑑賞。図録あり(302ページ、3000円)。

6月6日
法隆寺大宝蔵殿
 特別展 金堂古材と護り継ぐ寺宝-飛鳥から令和へ-
(4月26日~6月15日)

 恒例大宝蔵殿の特別展。修理時に取り替えられた金堂古材の展示とともに、古代の作例から現代の復元資料まで重要資料を多数展示。金堂天蓋付属飛天5軀、伝金堂薬師如来像脇侍像2軀、伝金堂阿弥陀如来脇侍像、玉虫厨子安置の観音菩薩立像、百済観音像宝冠断片、金堂四天王像銅製飾断片等々ずらり。初見の夢違観音像の元の台座は元禄期出開帳の際に作られたもの。ほか香取秀真作の灌頂幡復元摸造と現品に付属していた垂飾、聖霊院卒末呂王像持物の太刀、平安時代の舞楽面と行道面、蓮池図、初見の十六羅漢図屏風など多種多様。図録なし。伽藍と大宝蔵院や中門、夢殿も巡って塑像を重点的にご拝観。

東明寺
 本尊薬師如来坐像(重文)特別開扉
(6月1日~6月15日)

 法隆寺から近くなので立ち寄ってご参拝。9世紀の本尊像と脇壇の吉祥天立像、毘沙門天立像をご拝観。ありがたい機会。

6月11日
大津市歴史博物館
 ミニ企画展 館蔵・寄託の彫刻Ⅰ
(6月3日~7月21日)

 院生・学部生とともに見学。同館に収蔵・寄託される仏像・神像を、飛鳥時代から江戸時代までをカバーして紹介。崇福寺跡、石居廃寺跡出土の塑像・塼仏断片(7~8c)、弥勒堂維持委員会菩薩立像(8?~9c)、松禅院不動明王立像(11c)、西教寺行快作阿弥陀如来立像及び両脇侍像(13c)、観音寺町自治会地蔵菩薩坐像(14c)、日吉大社百太夫神立像(寛文9年・1669)など初公開資料を含む16件。地域に継承された資料を調査・研究のうえ公開・共有する地域博物館の役割を果たす大切な機会。図録なし。

栗東歴史民俗博物館
 収蔵品展 神さまの美術
(5月24日~7月6日)

 同館寄託の神像と獅子・狛犬、本地仏を展観。小槻大社の男神坐像2軀(伝落別命像・伝大己貴命像)、金勝寺僧形神坐像、大宝神社男神坐像・女神坐像、五百井神社男神坐像、椿神社僧形新坐像など平安時代の神像と、大宝神社の大型の獅子・狛犬、熊野神社の熊野本地仏像6軀など、重要資料がずらりと20件。このほか常設展示にも大宝神社神像群が並ぶ。冠や着衣の形式を学生と確認しながらじっくり鑑賞。多数の寄託資料を公開して有効に活用する貴重な機会。図録なし。

6月14日
和歌山県立博物館
 企画展 祇園南海の詩と書-教養・芸術・心情-
(6月14日~7月21日)

 日本の文人画の祖の一人、祇園南海(1676~1751)の漢詩と書の作品を、和歌山県立博物館の充実したコレクションを活用して展示室にずらり並べる。自筆稿本の南海詩集、赤壁賦行書長巻や詩書軸多数のほか、唐金梅所宛書状など尺牘類も紹介。末章では南海の文人画から紅梅図、墨竹図、美人石上読書図なども展示。絵画作品高い品格の詩書画で猛暑に涼風が吹くよう。図録なし。

6月24日
春日大社国宝殿
 華やぐ春に絵画を楽しむ 春日大社の屏風・絵巻・掛軸
(4月5日~6月25日)

 美術史実習で見学。春日大社伝来の多様な絵画資料を展観。鹿島立神影図、春日本春日権現験記、鹿図屛風などのほか、近時神社に寄贈された冷泉(岡田)為恭作品を初公開。元治元年(1864)筆の薔薇図、天保9年(1838)筆の春日明神降臨夢図など。図録なし。本殿お参りのあと禰宜道を通って新薬師寺ご拝観。

6月28日・29日
密教図像学会見学会

 恒例学会見学会。今年は青森南部・岩手北部。須藤弘敏先生のアテンド。櫛引八幡宮、恵光院、古町隅ノ観音堂、南部利康霊屋、瑞泉寺、徳楽寺、西方寺毘沙門堂、天台寺、東楽寺ほか巡見。

6月30日
会津若松周辺寺院

 如法寺、円蔵寺、法用寺、弘安寺、勝常寺、会津大観音、慧日寺跡、慧日寺資料館、徳一廟、恵日寺巡見。


7月1日
東大寺ミュージアム
 特集展示 東大寺と近代仏像修理のはじまり
(3月19日~7月9日)

 美術史実習で見学。勧学院(真言院)門前で日本美術院第二部と岡倉天心と新納忠之介のことを話してから鑑賞。東大寺内に設置された日本美術院の仏像修理工房を紹介し、修理時に取り外された部材や、修理情報を示した史料など展示。法華堂不空羂索観音立像の宝冠にもと取り付けられ、脱落していた貴石類を初めて鑑賞。修理時に復元されなかったもの。図録なし。

7月29日
龍谷ミュージアム
 特集展示:TANGO! 海の京都・山の京都の仏教美術
(7月12日~8月17日)

 改修工事中の京都府立丹後郷土資料館に収蔵される資料のうち仏教美術を展示公開。成相寺仏涅槃図、縁城寺十王図(2幅)、伊根町寺領自治区の聖観音立像や毘沙門天立像、僧形坐像、籠神社や高森神社の狛犬など。図録あり(46ページ、600円)。

7月31日
東京国立博物館
 特集 創建400年記念 寛永寺
(7月8日~8月31日)

 寛永寺の歴史と文化財を紹介。住吉具慶筆元三大師縁起絵巻(延宝7年)の本画と下絵を並べて展示。康乗作釈迦如来坐像(寛文4年)、江戸時代の三昧耶形五鈷鈴と五大明王五鈷鈴、大壇具、天海版木活字など近世の重要資料資料多数。図録あり(36ページ、1200円)。
 
 特別展 江戸☆大奥
(7月19日~9月21日)

 大奥を題材に、近世武家社会における高位の女性を巡る暮らし・儀礼・調度の精華を紹介。興福院刺繍掛袱紗、天璋院所用の染織品や雛道具、鶴樹院所用の婚礼調度などなど、近世の工芸資料展の様相。瀧山所用の虚空蔵菩薩厨子や祐天寺の小堀浄雲作阿弥陀如来坐像や當麻曼荼羅小厨子、三十三番観音厨子など徳川家周辺の仏教美術も紹介。図録あり(416ページ、3300円)

 親と子のギャラリー 仏さまのかたち-写す、伝える、広がる-
(7月23日~8月31日)

 儀軌や図像をもとに写し伝える密教の仏画の諸相を紹介。東博所蔵の白描図像の優品で子ども向け展示を構築する素晴らしいチャレンジ。油紙で図を写し取る手法、図像を貼り込んだ帳面など紹介。當麻曼荼羅の継承についても紹介。リーフレット(A4・4ページ)あり。

8月5日
徳川美術館
 特別展 時をかける名刀
(6月14日~9月7日)

 開館90周年記念として館蔵の刀剣・刀装具の優品を多数紹介。国宝刀剣11口、重文刀剣20口がずらりならんで壮観。刀装具多数を通じて金工・漆工の細かな技法と工人流派の詳細も紹介。図録あり(74ページ、2200円)。

8月8日
和歌山県立博物館
 夏休みこども向け企画展 くらべてみよう!ふたりの絵
(8月2日~9月23日)

 近世紀州を代表する文人画家の桑山玉洲と野呂介石及びその弟子たちや中国作例を対比しながら鑑賞し、その表現の特徴や工夫、文化的背景を読み取る美術史展示の王道。玉洲梅花書屋図と杜垣梅花書屋図扇面、介石芝仙延年図と張瑞図老松古石図、玉洲蘭図と介石蘭石図鑑、玉洲那智瀑布図と介石那智畳巒図など。図録なし。

8月9日 
春日大社国宝殿
 特別展 究極の国宝 大鎧展-日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界-
(7月5日~9月7日)

 国宝・重文の大鎧を多数集めて展観。春日大社赤糸威大鎧、櫛引八幡宮赤糸威大鎧、厳島神社小桜韋黄返威鎧、岡山県博赤韋威鎧、日御崎神社城糸威鎧など国宝鎧が集合(展示替えあり)。鎧の部位名称や技法などの解説も充実。図録あり(118ページ、2200円)

奈良国立博物館
 天理大学創立100周年記念特別展 世界探検の旅-美と驚異の遺産-
(7月26日~9月23日)

 天理大学付属天理参考館に収蔵される世界の民族資料を奈良博で紹介。これら資料は天理教布教のために世界各地の生活文化や信仰文化を理解する目的で収集されたもので、今では収集不可能な重要資料多数からなる。一部に奈良博所蔵の仏像仏画もコラボしながら、壮大な文化人類学展示を構築。万国博覧会と親和するテーマで開館130年の奈良博の新たな一面を示す。図録あり(280ページ、3000円)。

なら歴史芸術文化村
 企画展 さわる
(7月19日~8月24日)

 「さわる」を切り口にさわれる資料とさわられている文化財を紹介。さわれる資料は興福寺仏頭(近鉄所蔵)、キトラ古墳壁画(大塚オーミ蔵)、高松塚古墳壁画(同)、賓頭盧尊者坐像(岡寺)、薬師寺聖観音菩薩立像(薬師寺)など。長谷寺十一面観音立像(裏観音)は足先がなでられてきたもの。長岳寺仏涅槃図は釈迦の足を老女が触れているもの。茨木市立文化財資料館の聖母子画像(レプリカ)は祈りの際にマリアの手に触れていたもの。大昔作った和歌山県博の仮面レプリカもお出まし中。無料配布のハンドブックあり(16ページ)。

8月16日
和歌山県立紀伊風土記の丘
 企画展 高野山麓・山里のしごと-高野山周辺地域のくらし-
(7月12日~9月7日)

 高野山麓の生業と信仰を紹介。杖ヶ薮の位牌製作用具と製品、橋本の凍豆腐(高野豆腐)製造用具、年貢運搬のための雑事籠、下天野延命寺の天野の六斎念仏使用用具、花園遍照寺の花園の仏の舞使用仮面8面など。リーフレットあり(4ページ)。

9月日

10月日

11月日

12月日

1月日

2月日

3月日